【歴史コラム】13クラウン 〜1987年9月DEBUT〜
最終更新日|2024年1月10日
セダンの歴史を振り返る新コーナーがスタート。
先陣を切るのは13クラウン。
クラウンエイト以来のV8搭載も話題となった人気モデルを振り返る。
カーマニアの間で高級車がハイソカーと呼ばれていた頃。8代目のクラウンとして登場したのが13系。先代(120系)、先々代(110系)と2代に渡って継承されてきたテイストを基調としたスタイルで、発売当初は新鮮味という点でやや物足りなさがあった。
これに対し、2ヵ月先行して発売されていたライバルのセドリック/グロリアは、クラウンとの真っ向勝負を避け、大幅な若返り路線に転身。豪華・楽チンのダンナ仕様が王道だったハイソセダンの世界に、「走り」という新たな付加価値を備えた「グランツーリスモ」の設定が大当たり。続いて翌年発売されたシーマは、500万円という当時の国産最高価格ながら、バブル景気の波に乗りバカ売れ。
このように、トヨタの一人勝ち状態が続く現代の高級車シーンからは想像できないほど、当時の日産にはイケイケの勢いがあった。
そんなライバルからの攻勢を受け、窮地に追い込まれた13クラウンに、形勢逆転を図るべく導入されたのが、4リッターV8、1UZ‐FE。北米トヨタの高級車専門チャンネル、レクサスのフラッグシップ・LS400用に開発されたエンジンだ。これはLS400の国内版であるセルシオの発売の2ヵ月前のこと。事実上、2番手になる運命を知りながらも、当時の最新・最強の虎の子を与える辺りには、トヨタのクラウンにかける意地と愛情を感じずにはいられない。
もっとも評論家の間では、「V8のクラウンを買うなら、プラス20万円でセルシオの廉価グレードを買った方がイイ。器(車体)のクオリティがまるで違う」という声も多数聞かれたのは皮肉な話だが。
さらに、13クラウンが主役としての輝きを取り戻す、もう一つのきっかけが、ハイソカーに代わる新しい呼び名である「VIP」。そのVIPの人気の高まりがあったというのも忘れてはならない。
セダン系のドレスアップ業界では、現役時代は決して目覚ましい活躍を見せたとは言えない13クラウンだが、モデル末期を迎えるにつれ支持率は上昇。初期の「VIP」というジャンルを確立させた代表車の一つとして、今もなも、歴史にその名が刻み込まれている。
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