令和の今こそ知りたい!平成の名車
32セドリック/グロリア【短期連載②/8回】
平成から令和へ。例え時代が移ろっても、名車は名車であることに変わりない。そこで、不定期連載で、平成という時代を彩ったセダンを独自の視点で解説していく。
32セドリック/グロリア【平成3年6月DEBUT】
ライバルは絢爛豪華な仕様を突き進むクラウン。それに対し、31セドリック/グロリアで、「走りが楽しめるパーソナルサルーン」という戦略に出た日産。
その捨て身の賭けは見事に的中。中でもエアロパーツが標準で装着されたグランツーリスモグレードは大いに注目を集め、長年、水を開けられっぱなしであった帝王・クラウンに強烈なプレッシャーをかけることに成功した。
この一件で「勝ちパターン」を掴み、すっかり自信を取り戻した日産が、91年6月に投入したのが、32セドリック/グロリア。
何よりも話題となったのが、グランツーリスモの丸型4灯ヘッドライト。これは当時のロールスロイス/ベントレーのキャラクター分けに範を取ったものと思われるが(諸説あり)、角型異形ライトが全盛とされていた時代にシンプルな丸型4灯ライトが与えたインパクトは絶大で、セールス面でもブロアム以上にヒット。
また31時代、グランツーリスモは2リッターモデルの特別グレード的な扱いであったが、32系では3リッターエンジン搭載車に格上げ。ユーザーからも角目=ブロアム系、丸目=グランツーリスモ系と気軽に呼び分けられるなど、その存在はより重要なものとなった。
基本フォルムは前後を垂直に切り落としたボクシーかつ重厚なものだが、実寸上は意外にも31系の3ナンバーグレードより60〜80ミリも短縮化されている。
丸目ライト以外の注目点としては、日産のお家芸ともされて来たセンターピラーレス構造の廃止。見た目はサッシュレスのハードトップ風だが、前後の窓を降ろすと太目のセンターピラーが出現。これは当時高まりつつあった安全性強化に対する世論への回答とも取れる(何しろ、ようやく運転席側にエアバッグが装着されはじめた頃の話である)。
サイドプロテクションモールを持たないプレーンなボディ形状のためか、ドレスアップシーンにおいては過激なオーバーフェンダー仕様も大人気で、専門誌上でも数多くの有名車を輩出。33系、34系といった後継モデルが登場した後も根強いファンに支持され続けるなど、32セドリック/グロリアがセダンブームの創世記を語る上で欠かせないクルマであることに異論はないはずだ。
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