【車系図】トヨタ セルシオ
1代目:10セルシオ
ベンツやBMWなどの欧州メーカーの牙城であった高級ブランドマーケットに参入すべく、トヨタが新たに「レクサスブランド」を設立。
そのトップモデルとして開発した「LS400」の日本国内向け仕様車が「セルシオ」である。日本のオーナードライバー向け乗用車としては最上位に位置づけられた。
北米では1989年1月のデトロイトショーで「レクサス LS400」を発表し、9月から発売。日本では「トヨタ セルシオ」として10月から発売した。
仕様・装備の違いでA、B、C仕様を用意。セルシオは開発のすべてを原点からスタートさせ、走行性能と快適性を高い次元で両立させた。
特に快適性に大きく影響する振動・騒音については、「源流対策」により、振動・騒音の発生を極力減らすことに成功。
エンジンはV型8気筒DOHC32バルブの4000ccで260PSを発揮。サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式 で、A・B仕様にはコイルスプリング、最上級モデルのC仕様には電子制御式エアサスペンションを採用。B仕様には、路面状況により、ダンパーの減衰力が通常走行時の「ハード」の設定から瞬時に「ソフト」に切り替わる電子制御サスペンション「ピエゾTEMS」を装備した。
高級車にふさわしい性能と仕様や装備に加え、細部まで入念な工作と仕上げを施したことから、たちまちアメリカ市場で大きなヒットとなった。高いクオリティは、その後の世界中の高級車設計にも大きな影響を与えることになり、高級車の新たな標準を作ったとまで言われた。
2代目:20セルシオ
常に究極の性能を目指すという「セルシオ」の思想を継承した上で、次代の最高級車の理想を徹底的に追求することとし、「世界最高水準の走行性能と、静粛で快い乗り心地」「気品と力強い存在感あるデザイン」「徹底した安全・環境への配慮」を特長とした。
外観デザインは初代のイメージをリファインして踏襲。機構的には、ホイールベースを35mm延長することで後席スペースを拡大。エンジンにも広範囲な改良を施し、ピストンやクランクシャフトの軽量化を図ってノイズや振動をさらに抑制したほか、出力を5PS向上した。
1997年7月に比較的規模の大きいマイナーチェンジを実施。主な内容は、フロントグリルの独立、オートレベライザー付ディスチャージヘッドランプの採用、連続可変バルブタイミング機構(VVT-i)採用による出力向上(265→280ps)、4段ATから5段ATへの変更などで、動力性能と環境性能を同時に向上させた。
安全面では、6つのエアバッグをはじめ、車体の横滑りを防止するVSC、緊急ブレーキ時に補助するブレーキアシスト、プリテンショナー&フォースリミッター付シートベルトを全車に装備した。また、盗難対策としてエンジンイモビライザーを標準装備した。
3代目:30セルシオ
セルシオの最終モデル。「レクサスブランド」のクオリティに、さらに磨きをかけるべく全面的なリニューアルを実施した。
スタイリングは曲面を多用したデザインに変更し、空力特性は市販車として世界トップレベルのCd値0.25を実現。全長はほとんど変えずにホイールベースを75mm伸ばし、したがってオーバーハングを短縮し、全高は55mm高めた。これにより室内スペースを拡大すると同時に車両運動性能も向上させた。
V型8気筒DOHC32バルブエンジンは、排気量を4300ccに拡大(最高出力は280PSで変わらない)。電子制御機構を大幅に増やし、全てのドアにイージークローザーを採用し、環境性能も大幅に向上させた。
2003年8月のマイナーチェンジではヘッドライト、ボンネット、フェンダー、トランクリッドなどをリファイン。ATは5段から6段に変更し、10・15モード燃費を8.5パーセント向上させた。
A・C仕様車は17インチホイールに55偏平タイヤ、eR仕様は18インチホイールに45偏平タイヤにとそれぞれサイズアップ。
2005年8月、日本でも「レクサスブランド」を展開することになり、「セルシオ」は2006年をもって販売を終了した。
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