学ドリは攻めたモン勝ち。ハーフスピンなんて気にすんな。魂が入ったドリフトをしたヤツが勝つ!|全日本学生ドリフト王座決定戦2023
9月18日、富士スピードウェイにて、「全日本学生ドリフト王座決定戦2023」が開催された。今年の参加台数は約120台、その内の約80台が初参加という中で、王座を競い合った。
学ドリの審査基準は「自分の走りで100%以上の技術を本番に出すこと」を最も重視。つまり、単純にドリフトのテクニックだけを競い合うのではなく、「本番で100%以上の走り」という、自分との戦いを求めているのが興味深い。そして、後述するが、まさに結果はその通りとなった。
メインスポンサー
VALINO
直撃インタビュー
昨年に続き、今大会もVALINOがメインスポンサーを務めた。午前の予選が無事に終わったタイミングで、VALINOの清水サンにお話を伺った。
編集 まずは今年の学ドリの雰囲気はどうですか?
清水 もう最初から盛り上がっていますね(笑)。話を聞いたら、昨年よりも参加台数が増えているそうなんですよ。ここ数年、車輌の価格も高くなっているし、ここ最近はガソリン代も高くなっている。そんな中で参加車輌が増えているっていうのは素晴らしいですね。あとは、やっぱり、この元気の良さ(笑)。今年も学ドリが始まったなって実感しています。
編集 メインスポンサーを引き受けて学生たちを応援する。それはVALINOにとって、どんな思いからなんでしょうか?
清水 やはり、VALINOというとD1グランプリをはじめとした競技のイメージが強いと思います。ですが、ドリフトっていうのは競技だけじゃなく、エンジョイもあるし、その他、色々な楽しみ方があるんです。VALINOとしては色んなレベル、色んなフィールドでドリフトを楽しんでいる方たちも応援したい。その取り組みの一つが、今回の学生たちへの支援というわけです。
VALINO 清水サン
編集 いつもはD1グランプリを筆頭としたプロのレースを間近でご覧になっていると思いますが、今回は学生たちの戦い。学ドリではどんなことを楽しみにしていますか?
清水 そうですね、D1グランプリと学ドリとでは見所は全く違います。僕が学ドリで一番見たいのは、チャレンジするという気持ちの入った走りに尽きます。学ドリっていうのは気持ちの競技なんです。クルマのスペックが低かろうが、タイヤのグリップが低かろうが、その中でやりたいことをやる。失敗を恐れずにチャレンジする。そこが凄く大事で、そんな走りが見られるのを楽しみにしています。
編集 学ドリがスタートして、今回で22年目。過去にはこの学ドリからVALINOドライバーになった方もいるそうですね。
清水 実はですね(笑)、僕らにとっては学ドリは青田刈り的な意味合いもある重要な場所なんです。もちろん、今年も腕のいいドライバーを発掘したいと思っています。裏を返すと、将来、本気でドリフトの世界にどっぷりと浸かりたいと思っている学生たちにとっては、学ドリは重要なアピールの場でもあるんですよ。
編集 そして、ブースに展示しているアイテムについても教えてください。
清水 今回は学ドリに合わせて、アイテムを厳選してきました。特にオススメなのはタイヤとホイール。タイヤは「ヴァリドリ天国」で、学ドリを主催しているドリフト天国とコラボしたモデルです。専用コンパウンドを採用してロングライフを実現させたのが特徴。ホイールは「GV117D」。極限まで追求したディープリムがウリ。かつ、手に入れやすい価格も学生たちに喜んで貰っています。
その他は、念のために、現場にあったら助かるなっていうアイテムを持って来ました。「ブレーキバッドがない」とか、「ローターがダメになった」とか、「ナットが壊れた」とか、現場では色んなトラブルが起きますからね。その時に少しでも助けになったらと思って用意してきました。
編集 最後に、学ドリの真っ最中ですが、楽しんでいる学生たちにメッセージを。
清水 学ドリは学生の時だけなので、長くても3~4年しか出られない。人生の内の3~4回しか出られない大会なので、絶対に悔いが残らないように走って欲しいですね。思いっきり、はしゃいで、悔しがって、笑って、泣いて。そんな濃い一日にして欲しいです。
■予選の結果
■決勝1回戦の結果
予選は一発勝負のパイロン卍で、上位60名が決勝1回戦に進出。決勝1回戦は2本の単走で、その上位10台が「最終決勝レース」に臨む。なお、今回は10位が同率だったため、11台が進出した。
■最終決勝 進出車輌
ゼッケン19
坂本 陽夢(21歳)
太田自動車大学校
車輌:RPS13
学ドリ参加回数:3回
ゼッケン82
小林 大輝(21歳)
帝京大学
車輌:S15
学ドリ参加回数:初参加
ゼッケン42
成田 涼風(20歳)
日本自動車大学校
車輌:Z33
学ドリ参加回数:初参加
ゼッケン12
古田 晃己(24歳)
群馬大学大学院
車輌:SXE10
学ドリ参加回数:2回
ゼッケン47
荒井 理央(21歳)
日本大学
車輌:NA8C
学ドリ参加回数:3回
ゼッケン27
日野 元気(19歳)
関東工学大学校
車輌:SXE10
学ドリ参加回数:初参加
ゼッケン126
白河 瀬楠(19歳)
東海大学熊本
車輌:S15
学ドリ参加回数:2回
ゼッケン15
尾内 茂徳(24歳)
群馬大学大学院
車輌:SW20
学ドリ参加回数:5回
ゼッケン25
野中 清文(19歳)
埼玉自動車大学校
車輌:JZX100
学ドリ参加回数:2回
ゼッケン49
五月女 竜也(21歳)
日本大学
車輌:ER34
学ドリ参加回数:初参加
ゼッケン92
河瀬 芽美(18歳)
朝日大学
車輌:RPS13
学ドリ参加回数:初参加
■最終結果
熱い決勝が終わり、薄暗くなって来た中で始まった表彰式。まずはじめに、2人の審査員が大会を総括。学ドリ戦士たちに向けて、そこで語られたメッセージは厳しくもあり、暖かくもあった。
「みなさん、お疲れ様でした。上手くいった人も、そうでなかった人も、今日1日、楽しく走れたんじゃないかなって思っています。
今回、審査していて少し思ったのが、みんな、凄く上手く走ろうとしているよね? それは違うよ。ドリフトのカッコ良さって、上手く走ることではないよ。カッコ良く見えるように走ることですよ。今回はみんな『上手に走ろう、上手に走ろう』っていう意識が、ちょっと強いかなって思いました。
速度をボンってキチッとつけて、急いでアクセルを踏む。その方がドリフトはカッコ良く見える。カッコ良く走る方法を、みんな、見付けて欲しいなって思います。ドリフトは気持ちだからね。そして、上手さじゃなくて、カッコ良さだからね。それを今後の練習の中で自分なりに見付けて、また来年、一皮も二皮も剥けた走りを見せて欲しいなって思っています」。
最終1位|学ドリ2023
得点91点
成田 涼風(20歳)日本自動車大学校
▪車輌:Z33 ▪学ドリ参加回数:初参加
「日本自動車大学校の成田涼風です。今日はZでドリフトしている人が結構多いなって思いました。たぶん、今までよりも多いですよね、今日は10台ぐらいいましたから。正直、昨年の学ドリの動画を見て、Zでは勝ち目はないかなって思っていました。でも、いざ乗ってみたら意外といけるじゃんって。そして、今日の最後は当てる気でやったんですけど、仲間には『ぶつけたらごめんね』って最初に謝って(笑)。実際にぶつかって成功はしていなんですけど、それでも自分の走りを認めて貰えて本当に嬉しいです。ありがとうございました」。
最終2位|学ドリ2023
得点90点
白河 瀬楠(19歳)東海大学熊本
▪車輌:S15 ▪学ドリ参加回数:2回
「お疲れ様です。昨年は2位で、今年も2位でした。しかも、今回はトラブルで最初の1本だけしか走れず、残念な思いもあります。昨年は親のヴェロッサで出て、色々と言われたりもしたんですけど、それもあって、今年こそは絶対に自分のクルマで勝ってやろうって思っていました。パワーもなく、このコースをシルビアで走るのも初めてだったんですけど、なんとか2位になれて、悔しいですけど、良かったです。ありがとうございました」。
最終3位|学ドリ2023
得点85点
尾内 茂徳(24歳)群馬大学大学院
▪車輌:SW20 ▪学ドリ参加回数:5回
「MR2が勝てないって誰が決めた~(笑)。自分はMR2で、どこまでいけるかっていうのを見せたかったので、この結果は悔しいですけど、頑張ったかなって思っています。今日は本当にありがとうございました」。
総括!
今回の最終結果には、多くの人が驚いた様子だった。明らかなミスをした2台が入っていたからだ。しかし、表彰式の直前に2人の審査員が語ったメッセージが心に刺さったようで、誰もが納得した表情で勝者を祝福していたのが印象的だった。
学ドリの審査基準は「自分の走りで100%以上の技術を本番に出すこと」を最も重視。それが如実に表れた結果だったと言える。学ドリは攻めたモン勝ち。ハーフスピンなんて気にすんな。『魂が入ったドリフトをしたヤツが勝つ!」のだ。
学ドリ2023|激動の一日をプレビュー
「みなさん、お疲れ様でした。最後の最後はやかましいぐらいのコールの斬り合いを見て、これが学ドリだなって思いました(笑)。とにかく、学ドリは決まった期間しか出られない大会。なので、楽しんだモン勝ち。ドリフトに関しては審査員の方からの話にもありましたが、その通りで、自分のやりたいことをやりましょう。好きなことを突き詰めていけば、自ずとドリフトが楽しくなりますからね。今日は楽しく見させて貰いました。みなさん、ありがとうございました」とVALINOの清水サン。
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