新型レクサスLS

【いまこのクルマが凄いんです!】 新型レクサスLSの気になる新技術・新装備 その①

2017年10月19日正式発売され、直後に行われた東京モーターショーでも現車展示が行われるなど、注目を集めているレクサスLSは、11年ぶりにフルモデルチェンジされた通算5世代目の最上級セダンです。フラッグシップの名を欲しいままとするLSには、そうなんだぁと関心してしまう数々の新機能、新装備が数多く備わっています。そこでそのなかから気になった情報を、外装編・内装編の2部構成で、掻い摘んでお伝えします! 第1回目の今回は、外装編です!

 

【注目①】ピンポイントだけを消灯、点灯できる機能派ヘッドライト

切れ長の3眼LEDハイ/ローランプや流れるシーケンシャルウインカー、アロー風のポジションランプと、先鋭さがイッキに増し、フロントフェイスの印象を大きく変えたヘッドライト。その注目は上段にあるハイ/ロービームのLEDにあります。「アダプティブハイビームシステム」(AHS)と、なんとも判りにくい言葉で表現されているこのシステムは、簡単にいうと、上下段で細かく分かれたLEDの灯体を1つずつ制御して、“当てるべきところに光を当て”、”当てるべきでないところでは光を消す”という。ピンポイント照射ができるスグレモノ。写真のように、夜間、周囲や人は照らしつつも、対向車や前方を走るクルマにハイビームの光を当てないよう、部分だけLEDを消灯するという賢さなんです。昨今、夜間事故を減らすために、ハイビーム走行を推進する動きが活発化していますが、これがあれば極端な話、ロービームを使うシーンは極端に減るのでは!? とも思えます。

新型レクサスLS

イメージ図を見れば一目瞭然。対向車などに迷惑を掛けることなく、歩行者などの存在をしっかりと把握できます。■出典/トヨタ自動車

新型LSのヘッドライトは、小糸製作所が開発を担当しています。LSではハイビーム用LEDが上下段の2列配列となっており、(パッと見ではまったく判りませんが)上段に8個、下段に16個のLEDを搭載(ともに片側)。周囲の状況に応じて、例えば、上段の右から2つめと3つめ、下段の左から4つめと5つめだけを消灯するという、”部分遮光”機能を搭載しているんです。小糸製作所によれば、上下段の2列配置での遮光機能は世界初とのこと。1列配置での遮光機能は、現行レクサスRCやマツダ・アテンザなどで実用化されているそうです。

余談ですが、この部分遮光機能はライバル各社でも開発が進んでいます。先の東京モーターショーでは、ホンダ・新型NSXのヘッドライトを開発したスタンレー電気も部分遮光システムを出展。2020年を目処に市販化すべく現在動いているとのことでした。

 

【注目②】ドアガラスまわりに段差がほぼない、フラッシュサーフェイスウインドウを採用

新型LSは理想とするエアロダイナミクスを形にするため、空気抵抗の少ないボディ形状の再現に細心の注意が払われています。なかでも注目は、「フラッシュサーフェイスウィンドウ」と呼ぶ側面デザイン。ドアガラスと窓枠の段差を極限まで無くしてフラットにしたもので、抵抗低減を図るだけでなく、風切り音の低減効果も狙えるという構造です。

新型レクサスLS

見る角度にもよるものの、遠目から見れば、ドアガラスが前後1枚続きの大型サイズにも見えるなど、ピラーや窓枠の段差がほぼない状態。フラッシュサーフェイスという手法自体は、1980年代初頭頃からボディデザインなどで注目されたもので、特別珍しいものではありませんが、それをドアガラスまわりで具現化するのは至難の業。レクサスでは新型LSが初になります。ちなみに実製作担当は、芸術品のような新型LSのフロントグリルや、ミリ波レーダーなども担当している豊田合成です。■出典/トヨタ自動車

 

【注目③】アルミの使用率を大幅に上げ、さらに軽く

新型LSでは素材も大幅に見直されており、とくにアルミの使用率が大幅アップ。フロントフェンダー、ボンネット、前後左右ドア、トランクフード、(ダンパーを固定するまわりの)サスペンションタワー、(フロントバンパー奥の)リインフォースメントがすべてアルミとなっています。先代LSではアルミはボンネットだけだったことに比べ急上昇。ハイテンと呼ばれる高張力鋼板も使用範囲も拡大と軽くて、強いボディになっているんです。

新型レクサスLS

ちなみに、レクサスのラグジュアリーフラッグシップカーの双璧となるLCでは、CFRPと呼ぶカーボンが要所に採り入れられていますが、新型LSではカーボンはありません。■出典/トヨタ自動車

 

【注目④】ポップアップボンネットは、最新の4支点式

歩行者と万が一接触した場合に、その衝撃を緩和して頭部のダメージ軽減を狙うポップアップボンネット。このいわゆる“跳ね上がる”ボンネットは、トヨタ車ほか、高級車では以前から純正採用されるなど、特別珍しい機能ではありません。今回のLSで注目したいのは、ずばり構造。支えるポイントとなる支点数です。大半のポップアップはボンネットのワイパー側左右の2支点式ですが、新型LSはワイパー側2点、先端側2点の合計4支点タイプなんです。開発した豊田合成によると、最近のクルマはエンジンルーム内にギッシリとさまざまなユニットが詰まっており、ボンネットと各ユニットの隙間はかなり少ない状態です。2支点式では浮き上がり量に限界があり、衝撃の吸収スペース確保という観点では充分とはいえないとのこと。その点4支点式は、いうなればボンネット全体が宙に浮くようなもの。エンジンルームとの間の空間が広く稼げるため、より確実に衝撃を緩和できるとのことです。現在編集部が把握している国産車での4支点式は、新型LSとレクサスLCのみです。

新型レクサスLS

ポップアップボンネットは油圧式ではなく、(起動するまでのスピードが命のため)エアバッグと同じく火薬着火式。火薬の爆発力で瞬時に展開させます。そのため1度起動した場合は、アクチュエーターなど、モジュール一式の全交換が必須とのことです。「ポップアップボンネットは高く付くよ〜」という噂が以前から囁かれていましたが、それはあながち嘘ではないようで、修理費用は驚くほど高額な費用がかかるとのことです。■出典/トヨタ自動車

 

【番外】タイヤはブリヂストンの最新ランフラットが標準装備

意外に見過ごされているタイヤは、LS史上初めてランフラットタイヤを全グレードで標準化しています。ランフラットとはパンクして空気がゼロになった状態でも、一定速度で一定距離走れる強度を確保したモノで、高級車を中心に急速に純正採用が広まっています。純正採用タイヤはブリヂストンの「トランザT005 RFT」。ランフラットタイヤはタイヤ側面部のショルダー内に補強ゴムを入れ、空気圧ゼロでも荷重を支えられる構造のため、一般のタイヤよりも乗り心地は確実に硬くなります。それと同時に、実際に低空気圧時(またはエアゼロ時)での走行時にはサイドが少なからずたわみ、それが元で熱を発生。熱がゴムを軟らかくしてしまい、さらにたわみがきつくなることで、走りに影響を与える(持続性が短く)傾向があるようですが、LSに採用されたランフラットは高温時でも軟化しにくい構造を新たに採用し、その課題をクリア。従来のランフラットよりもサイドの補強を減らしつつも、LSにも使える、よりコンフォート向けの仕様になっているそうです。ちなみに今回のトランザT005RFTは、80㎞/h以下で、約160㎞走行可能とのこと。

写真は、先の東京モーターショーのブリヂストンブースで展示されていたランフラットのカットモデル。タイヤ内の赤い着色部分が、ランフラットの補強です。注目して頂きたいのは、写真の赤丸部分にある無数のフィン。このフィンはタイヤサイド一周にわたり施されていますが、じつはこれはランフラットの天敵ともいえる熱を放出するためのもの。ブリヂストンによると、タイヤサイドに溜まる熱を効率良く放熱(冷やす)する効果が期待できるとか。このフィンは、ランフラットの証。ハナタカ情報として知っておくとイバれるかもです。LS純正タイヤにも、このフィンはもちろん付いています。ちなみにブリヂストンのランフラットタイヤの場合のサイズ表記は、一般的な「245/45R20」ではなく、「245/45RF20」と「RF」表示となっています。

 

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